スタッフブログ
東京新聞 連載 「インテリアわたし流 15 」
May 29, 2008 6:34 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
薫風に揺れる「透け感」
四月のイタリア「ミラノ・サローネ」は世界最大規模の家具見本市。今年は34万人を超える入場者があったそうだから、人で溢れかえった会場の様子にも合点がいく。
休憩も兼ねたランチもまずは長い行列に並んで、となるから、私もホテルの朝食をいつもよりしっかり食べて早々に繰り出す毎日が続く。

人々の熱気で溢れる家具の見本市「ミラノ・サローネ」の会場入り口=イタリア・ミラノで
エネルギッシュで才気きらめく最新インテリアのイベントは、見本会場内に留まらずミラノの街のあちこちで繰り広げられる。地図を片手にギャラリーやショップを探しながら巡る人々が街を行きかうのも毎年のことだが、趣向を凝らしたデザイントレンドのシャワーを浴び続けていると、さすがに食傷気味で疲れを感じてしまう。
十数年前にさかのぼるが、ミラノの一般家庭の取材で年金生活に入って間もないご夫妻を訪問したことがある。リビングの壁には大きさも形もさまざまな写真や絵葉書が飾られ、家具もよく使い込まれたものばかり。コーヒーテーブルにはコレクションの天然石の球が大きな花器に盛り込まれ、その傍らに私たちのために用意された手作りのニョッキも銀のトレーに綺麗に並んでいて、まるでディスプレイのよう。ご夫妻のセンスが光っていた。
時代を先取りするデザイン王国イタリアの普通の暮らしの一コマを思い出す。
東京新聞 生活面 5月19日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 14 」
May 29, 2008 6:25 PM
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薫風に揺れる「透け感」
「東京は今、どんな様子?」、「ちょうど桜の花が散り、これから新緑が美しい季節が始まるころ」
まだ肌寒いミラノで久々に再開した友人に日本の初夏を自慢した。新緑が美しく輝き、さわやかな風が吹きわたる五月は、私の一番好きな季節。全てに活き活きとした躍動感が感じられて、エネルギーが充ちてくるようだ。この緑の風、フランス語で「ヴァンヴェール」を窓辺から誘い込んで、見慣れた部屋を軽やかな空気でリフレッシュしたいもの。で、選んだのがスウェーデンの「シナサンド社」のファブリック。北欧生まれの色合いと配色が新緑の季節に相応しい。

色や柄が豊富な「シナサンド社」の布
私たちになじみのある北欧のイメージは、赤や青の鮮やかな色を大胆な柄ゆきでプリントしたファブリックだが、ここでご紹介するのは、青と黄色のそれぞれにミルクを混ぜたような優しい色使いのもの。濁りのない澄んだ色の組み合わせは、どんな好みのインテリアにも無理なく寄り添ってくれる。TOYOと名付けられた二重織の不思議な布(写真左上)など、日本の玩具の「ぱたぱた」のようだ。
さわやかな布の風合いを楽しむには、カーテンとして窓辺に、あるいは間仕切りとして天井から下げてみる。いずれもヒダをとらずにさらりと掛けたい。薫風に揺れる「透け感」がとても美しいから。
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東京新聞 生活面 5月5日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 13 」
May 29, 2008 6:14 PM
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艶深い木目安らぎの場
いつもと変わらぬ朝の通勤電車だけれど、新学期が始まるこの四月は晴れた青空の下、ふんわりと桜の花が街の家並みに色を添えて明るい。
曇っていると望めない富士山もそこだけ縮尺を間違えたように大きく見える。
還暦を迎えた翌日の私はまっさらな気分で、いつもの富士山も特別に見えた。中学校に入学した時の気分に似ている。学年と組と名前を書き込んだ新しい教科書とノート。削り上げた鉛筆が行儀よく並ぶ筆箱。制服のスカートのプリーツがきちんと折られて、新しい何かが始まる、そんな期待感が胸にひろがる感じ。

木目の美しさは年輪のたまもの。今こそ、ゆとりのある大人の机が欲しい
あのころ、新しい机と自分だけの部屋がほしかった。今の私も自分の机がほしいと思う。大きくて、ランプが置かれていて、写真で見かけた仏文家の朝吹登水子さんのパリの書斎にあったような年輪を重ねた机がいいな。
木目が美しく深い艶をたたえた年代もののローズウッドで手触りが良く、読みかけの本を幾冊か置いても余裕のある広さで、家族の写真を入れた銀の写真立てがあり、還暦祝いの万年筆でさらさらと手紙を書いたりなぞして、アンティークの薄手のティーカップでゆっくりとお茶をいただく。仕事の机にはお別れして、丁寧な心持ちでものを想う。嗚呼、これぞオトナの暮らし、やっぱり机がほしくなる。
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東京新聞 生活面 4月21日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 12 」
May 29, 2008 6:06 PM
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グッと和らぐ住み心地
十代の頃に憧れたのは、映画「三月生まれ」で長い髪のジャクリーヌ・ササールが素敵に着こなしていたトレンチコート。ちょっとクタっとしていて着込んだ雰囲気が大人っぽくて憧れた。
あの頃、まだ子どものくせに、おろしたての真新しいコートは野暮で、少々、雨に打たれて、なじんだものの方がカッコ良いと思っていたのは何故だろう。
同じように完成したての家の空気も、まだ硬い。真新しい革の手袋のように綺麗だけれど窮屈で、指の動きがぎこちないという感じ。日々、暮らす人の生活感、器としてのアジがついていないというところだろうか。リビングにソファやテーブルを入れてもまだまだ素っ気なくて、硬い。

身近な家族の作品も、インテリアとして楽しんでみては
さてその空気をどうやって柔らかくしようか。絵や書、オブジェなど、アートがひとつ加わっただけで部屋の空気がグッと和らぐ。
街のギャラリーで偶然、見つけた絵も素敵だけど、幼稚園に通うお嬢さんがクレヨンで描いた絵を原画にして、お母さんが北欧のつづれ織りで仕上げた額がかかったリビングもある。母子で作り上げた作品は、お日様のように温かかなぬくもりが感じられて、気持ちがいい。
東京新聞 生活面 3月31日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 11 」
May 29, 2008 5:55 PM
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マンションに春薫らす
晴れた日の午後、信号待ちのタクシーのラジオから子どもたちが歌う「春の小川」が流れてきた。ぼんやり聞いているうちに小学校のころの写生の時間が浮かんできた。
花びらが散る桜の下で一心に描いている。傍に「さらさら」と小川が流れていたように思うけど記憶はあいまい。でも、思わず目を細めてしまうような懐かしさが充ちてくる。クレヨンの匂いとお弁当の蓋をあけたときの、玉子とお醤油のふわっとした匂いも。いつもお弁当には片目玉焼きと海苔。あのころ食の細かった私のお気に入りだった。

インテリアを支える大小2つの花器
用事を終えて家にもどると、急に部屋のあちこちのほこりが目につき、思わず仕事の段取りもそっちのけで拭き掃除を始めるともう止まらない。せっせと窓ガラスを磨き、窓のブラインドもすっかり綺麗になってそれは気持ちの良いこと。すっきりと片付いた部屋に、今度は花を添えたくなって近くの花屋さんに向かう。こんな気分のときのために?わが家には大きな花器が用意してある。高さ六十センチと四十センチの透明ガラスのもの。かなり大型だが思い切って盛大に飾りたくて大小、二つ並べてつかう。猫の額ほどの庭にも、広いベランダにも恵まれないマンション暮らしでは、花々が咲き乱れる庭園は望むべくも無いが、たっぷりと高く活けた枝花が春の季節の瑞々しさを運んでくれる。
東京新聞 生活面 3月17日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 10 」
May 29, 2008 5:46 PM
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住み継ぎたい本物の「和」
梅が笑んだらお訪ねくださいますように、と手紙を下さったのはもう七十を過ぎたご年配の奥様。娘時代のお雛様を倉に仕舞い切りなのも可哀相だから、とご実家からはるばる運ばれて、久方ぶりに飾られた雛の節句にお招きいただいたのはもう五六年も前のこと。

桃や紅白の置物をあしらい、かわいらしく飾られたお雛さま
イタリアンタイルの床に、漆喰の壁で仕上げた瀟洒な別荘風のお住まいのリビングに飾られた二組の時代もののお雛様は、それは雅で華やいでいて、愛らしい桃と梅の枝が香りを添えていた。
ちょっと古いデータだが、平成八年の居住性調査によると、半数以下の家庭でしか、雛の節句が行われていない、とある。飾るよりも片付けるほうに手間と時間がかかってしまい、面倒さが先に立つというも一因かもしれないが、調査で気になるのは新築をきっかけに「年中行事を行わなくなった」という回答が、「行うようになった」を上回っていることだ。
十数年前の調査だが、住宅の更新や世代の交代によって、日本の伝統的な年中行事が廃れつつあるとしたら、私たち還暦世代のライフスタイルの関わりも大きいと思う。
いま「和」をテーマにしたイベントや、インテリアショップに人気が集まり、年中行事も話題になるが、欧米文化に憧れた私たち世代だからこそ、安直なわかりやすさや手軽さだけでなく、日本人の本物の暮らしを住み継ぐ志を持ち続けたいと思う。
東京新聞 生活面 3月3日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 9 」
May 29, 2008 5:39 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
壁紙のちから
ここ十年ほど、ナチュラル&シンプルなインテリアトレンドが主流を占め、ホワイトやベージュ系のビニール壁紙で明るく仕上げられた部屋が大半になっている。家具やカーテンなどが合わせやすいが、他所の家と代わり映えのしない無難な部屋になりがちだ。
内装材のなかでも種類と数を誇る壁紙であれば、もっと色や柄に冒険してみてはいかがだろうか。手軽に模様替えができるのが壁紙の一番の長所だから、ファッションを選ぶような気分で選んでみたい。
海外の見本帳は壁紙とマッチするファブリックが一つにまとめられていて、眺めるだけでも参考になるインテリアコーディネートのお手本だ。

一面だけでも部屋の雰囲気がガラリと変わる
息をのむほど精緻で華麗な、まさに美術品級のプリントや、3Dのように立体的に浮き上がって見える不思議な感覚のもの、古典的な草花柄も大胆な大きさで用いられればダイナミックなアートのように室内を彩る。輸入の紙壁紙の魅力は版木のインクが厚く、触れるとその文様が手に伝わってくるところ。こっくりとした奥行きのある深い色合いも素敵だ。
リビングの壁全面では勇気が要るが、プライベートスペースであるベッドルームの、例えばベッドヘッドの壁一面だけになら失敗も小さい。
思い切って壁紙の冒険を小さなスペースから始めてみてはいかが?
東京新聞 生活面 2月18日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 8 」
May 29, 2008 5:33 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
新作芽吹く欧州見本市
立春大吉。暦の上では一年の始まりで今日から3月6日の「啓蟄」の前日までが「初春」にあたるそうだ。
インテリアデザイナーが春を探しに出掛けるといったら、野でも山でもなく、ヨーロッパ各地で年明け早々から続々と開かれるインテリアの見本市だろう。最新技術を駆使したファブリックや家具、生活雑貨の新作が競うように発表され、最新のトレンドをいち早くキャッチしようと世界各国のバイヤーが大挙して訪れる。どんよりと曇って気が滅入りそうな冬空だが、見本市会場は熱気に溢れた別世界。トップメーカーが繰り広げる贅を凝らした品々やダイナミックな展示はまさに春爛漫、華やかで心が浮き立つ。

春のインテリア新作発表会には世界各地から関係者が集まる=パリで
新作は勿論だが世界各地から集まった同業のプロフェッショナルたちを見るのも愉しい。パリのメゾン・エ・オブジェはお洒落なコーディネートで注目の見本市だが、乳母車を押しながら巡るカップルや、身ぶり手ぶりもにぎやかな母娘の二人連れがいたりで、歩き疲れてカフェで休んでいても見飽きない。なかでも家具見本市で見かけた小さなお客さまたちは小学校に入ったばかりのような子どもたちで、先生に手を引かれながら会場を見学していた。あまり楽しそうには見えなかったけれど、フランスの暮らしのセンスが優れているのはこんな幼少期からの訓練の賜物なのだろう。
東京新聞 生活面 2月4日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 7 」
May 29, 2008 5:25 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
奥行き感にサプライズ
わが家を改装した際、収納を思い切ってリビングに設けた。天井まで三枚の引き戸を入れ、中央の戸にはミラーを張り、内部はコート掛け用のクロゼットとその名も懐かしい婚礼家具三点セットの忘れ形見、整理ダンスを入れている。
家を新築する奥さまからのご相談で多いのは、結婚当初にそろえた婚礼家具の置き場所。親が支度してくれたものだけにむげに処分にはできないし、寝室に並べて置いても天井までの空きスペースが中途半端だったりで、結局、納戸に収めるケースがほとんど。なかには一世を風靡(ふうび)したゴージャスなワインレッドの三点セットをお持ちの方もいて、時代の変遷を感じたものだ。

収納扉にミラーを張り明るくなったリビング
さて、わが家の収納のミラー戸であるが、ベランダからの外光を部屋の奥まで映し出す役割を果たし、室内が格段に明るくなった。
普通は戸の開け閉めを考えて手前にミラー戸を付けるが、奥にも部屋が続くように見せたくて、あえて奥側のレールに取りつけ、ミラー戸の存在感を消すように工夫した。リビングの天井の照明器具が直線上に並んで鏡に映り、遠近感が強調され、自然に奥行きと広がりを感じさせる。
鏡を磨く手間もあるが、初めて訪れた方が鏡を覗いて、狙い通りに「うわっ!?」と驚いてくれるものだから、迎える私もつい嬉しくなる。
東京新聞 生活面 1月21日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 6 」
May 29, 2008 5:19 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
ライフスタイルに合わせ
お宅のキッチンは旧年末にはよく働いてくれましたか?
年末年始は日頃の働きに増して、使う人の動きに応えてくれるキッチンかどうか、機能性や使い易さの真価が問われる。やっぱりリフォームしようかしら、と考えるのも案外、実感さめやらぬお正月開け早々ではないだろうか。

筆者宅のキッチン。奥行きを10㌢深めにしたカウンターとアクリル製のブックスタンドを活用している
うちのキッチンは、二.一mの正方形で、三畳にも満たない狭さだから、二.五五mの標準タイプのキッチンカウンターが入らない。よそ様のキッチンのご相談に預かっている立場からすると、少々肩身も狭い。手狭さがずしんと効いてくるのが、収納と調理のスペースで、まな板を置くとお鍋を休める場所もわずか。
さて、この狭さをどう私流に工夫したものか。忘れられないのは、パリ在住の料理研究家、上野万梨子さんの「バスタブのあるキッチン」のエピソードで、オーブンがあることを条件に探したキッチンには、なんとバスタブがついていたという話。キッチンのシンクの角に洗濯機が置いてあって、その天板が調理台になっていたのはイタリアの老デザイナーのお宅。キッチンの狭さにびっくりしたけど六人で囲むディナー料理を作って温かくもてなしてくれた。
世には使う人の呼吸にあったキッチンの姿がある。それが理想のキッチンだ。その家族の食事スタイルや、家事の仕方を主役に、今年はキッチンを再考してみたい。
東京新聞 生活面 1月7日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 5 」
May 29, 2008 5:09 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
くつろぎと食事を兼用
普段、晩ご飯はダイニングテーブルで食べているが、遅い食事やその日をしめくくる晩酌どきは、もう少し低いところでゆっくりくつろいでいただきたい。それでは、とばかりにいそいそとソファへ移動してみるが、わが家のコーヒーテーブルでは低すぎて、グラスや皿に手を伸ばす度にソファから背を離して前傾するから、ゆったりくつろぐどころか気忙しくてならない。

高さが55㌢前後なら、ソファにも椅子にも合わせやすい
そんな折に見つけたのが食卓にしては低い、見慣れない高さのテーブル。聞けばデンマークのユーズドファーニチャーのコーヒーテーブル。一九五〇年代の中古家具だという。長年にわたる手入れの良さでしっとりと艶の出てきたチーク材が美しく、気になる高さは五十八㌢。一般のコーヒーテーブルの高さは四十㌢、ダイニングテーブルは七十㌢だから、これはその中間にあたる。
北欧ではこれとソファと組み合わせて、お茶を楽しむそうだ。
生活の質を求め、実用性を尊ぶ北欧のシンプルな暮らし方がテーブルの高さにも遺憾なく発揮されているようだ。ちなみにこのテーブルは直径九十㌢、二人で囲んでも余裕がある。きちんと背を伸ばして食事をするのが正しいのではあるが、そろそろ人生後半に差し掛かる私たちの世代にあっては、こんな低いテーブルでゆったり食事を愉しんでも良いのでは?吟味したチェアに座って、が条件だけど。
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東京新聞 生活面 12月17日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 4 」
May 29, 2008 4:57 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
重要な家事手伝い
ちょっと腰掛けたいな、と思う。例えばキッチンでのわずかな五、六分、圧力鍋の高圧ピンが上がるまでの加熱時間だったり、引き出しの中を整理するときだったり、家事の合間にチョイ掛けできる椅子がほしくて購入したのが、このハンティングスツール。

ちょっと腰掛けるのに便利なハンティングスツール㊨とオットマン
椅子に坐って家事となると、なにか不精をしているようで居心地が悪いが、この椅子はブナ材の脚に厚いヌメ革の座で、脚をたたんで共の皮ひもを肩に掛ければ、アウトドアにもお供する。座面の高さが四十五㌢なのでキッチンの調理には低すぎるが、ソファの脇で新聞を乗せたり、念入りな歯磨きには洗面所に連れて行ったり、お役立ち度はしっかりと高く、一㌔を切る軽さで扱い易さも上々。
次なる椅子はオットマンと呼ばれる足のせで、プチポワン(刺繍)風の優雅なもの。高さは二十二㌢で本棚の前が定席。座り込んで晩御飯の献立を探したり、踏み台になったり、でこれも重宝だが、一番ぴったり決まるのは古新聞を束ねるとき。まさにどっかり坐って一カ月分を整理する。三十年前に暮らしていた香港は九龍の、建て込んだ隘路の石段でタバコやコーラ、なんでもありの果物屋の夫婦がこんな低い椅子をもちだして昼ご飯をかき込んでいたっけ。脇の電気釜と食卓代わりの平板に三品もお采が並んでいた。懐かしい空気がよみがえる私の好きなひとときだ。
東京新聞 生活面 11月26日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 3 」
May 29, 2008 4:41 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
バッチリ目元の味方
デスクワーク用に中近両用眼鏡をつくった。検査を待つあいだ、おしゃれなシニアグラスを発見。メーキャップ用の眼鏡だ。レンズの下端がツルにつながって、レンズが片方ずつ前にパタッと倒せるからアイラインもしっかり引ける。もちろん鏡を見て使うのだから「鏡までの距離×二」で度数を合わせるのがポイント。
良く見える眼鏡には良く映す鏡がほしい。母の世代であれば鏡台の前に座り、漆仕上げの手鏡で化粧をしていた。

メーキャップには洗面所の拡大鏡㊧が活躍
このごろはメーキャップも洗面所で、という人が多い。大きな鏡で姿が映せるのと、湯水が使える手早さが今の生活感覚に合っているからだろう。しかし、くわしく見ようとすると洗面カウンター越しの鏡は遠く、つま先立って顔を近づける姿勢にいささか無理がある。手鏡の使いやすさにはかなわない。
海外のホテルの洗面所でよく見かける壁面取り付けタイプの拡大鏡は距離も伸縮自在で角度自由と、手鏡にも負けない優れもの。取り付け位置は簡単なようで案外難しくいつも悩むが、洗面鏡の前に立ち、身体の向きを変えるだけで顔が映る位置がベスト。十分な明るさが確保できるかも同時にチェックする。卓上型もあり、拡大倍率は2倍が標準。これからはメーキャップグラスと美人鏡の最強コンビを味方に、目元よ、パッチリ、いつまでも。
東京新聞 生活面 11月5日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 2 」
May 29, 2008 4:30 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
夕暮れの空を食卓に
夕食時のダイニングテーブルにはどんな照明を選んでいますか?天井からコードで下がっている「ペンダント型」?それとも天井に直付けした「シーリングライト型」?
ちなみにわが家では仕事机も兼ねているダイニングテーブルを本棚の脇の部屋の端に置かざるをえず、ペンダント型の照明ではインテリアのバランスが悪くなってしまう。天井全体の均整をとって、止むなく二台のシーリングライトをつけた。

PHランプの明りはやわらか
照明には明るさを確保するだけでなく、やすらぎや癒やしを与える心理的な演出の役割もある。特にダイニングの照明に期待するのは、くつろいだ、和やかな雰囲気を醸し出す効果。北欧には美しい明かりの名品が多いが、なかでもポール・ヘニングセンのPHランプは、夕暮れどきのオレンジがかった夕日の色と暮れなずむ夜空のブルーが微妙に溶け合う時間の、美しい空を再現する工夫がなされているペンダント型の照明だ。わが家のようにペンダント型の照明が無理なら、低めのフロアスタンドもある。テーブルの脇に置けば、側面から照らす柔らかな明かりが、テーブルを囲む人々の表情を美しく、優しく見せてくれる。
ペンダント型の照明の交換するときは、天井の配線器具が接続可能か必ず確認すること。天井の補強が必要な場合もあるので注意が必要だ。
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東京新聞 生活面 10月22日 デザイナー 林柳江
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東京新聞 連載 「インテリアわたし流 1 」
May 11, 2008 7:02 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
時を経て いま気づく
小学校に入学したばかりの私がリンゴにほおずりしてほほ笑む写真がある。父が撮ったものだ。長ソファに座り、かたわらの格子柄の布がかかった四角いテーブルの一輪挿しには花が飾ってある。私の服は母の手作り。ビニールレザーの長ソファとテーブルは父が手作りしたものだ。ベッドも食卓の椅子も父が作った。物が無かった時代、昭和29(1954)年のモダンデザインだ。
色あせたセピア色の写真だけれど、オレンジ色のソファ、白地に青い細縞のカーテンが金色の丸カンで窓に掛けられていたのを憶えている。
高度成長期に育った私には、畳の部屋も襖も、引き違いの窓も野暮ったくて、なんとか洋風に変えようと工夫をこらしたものだ。愛読誌「ジュニアそれいゆ」の、中原淳一のイラストで四畳半を洋風に設えるアイデアが素敵に映った。

リビング風景
そして今、四年前のリフォームで、マンションのわが家に畳の部屋は無い。仕事兼用のテーブルに、椅子に腰掛ける生活。だけどこのごろ、ベタッと畳に座ってみたくなる。正座できちんと座るのも気持ちがいい。日本伝統のなごみにつながっているのだと思う。
東京新聞 生活面 10月1日 デザイナー 林柳江
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