デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
グッと和らぐ住み心地
十代の頃に憧れたのは、映画「三月生まれ」で長い髪のジャクリーヌ・ササールが素敵に着こなしていたトレンチコート。ちょっとクタっとしていて着込んだ雰囲気が大人っぽくて憧れた。
あの頃、まだ子どものくせに、おろしたての真新しいコートは野暮で、少々、雨に打たれて、なじんだものの方がカッコ良いと思っていたのは何故だろう。
同じように完成したての家の空気も、まだ硬い。真新しい革の手袋のように綺麗だけれど窮屈で、指の動きがぎこちないという感じ。日々、暮らす人の生活感、器としてのアジがついていないというところだろうか。リビングにソファやテーブルを入れてもまだまだ素っ気なくて、硬い。

身近な家族の作品も、インテリアとして楽しんでみては
さてその空気をどうやって柔らかくしようか。絵や書、オブジェなど、アートがひとつ加わっただけで部屋の空気がグッと和らぐ。
街のギャラリーで偶然、見つけた絵も素敵だけど、幼稚園に通うお嬢さんがクレヨンで描いた絵を原画にして、お母さんが北欧のつづれ織りで仕上げた額がかかったリビングもある。母子で作り上げた作品は、お日様のように温かかなぬくもりが感じられて、気持ちがいい。
東京新聞 生活面 3月31日 デザイナー 林柳江




