デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
ライフスタイルに合わせ
お宅のキッチンは旧年末にはよく働いてくれましたか?
年末年始は日頃の働きに増して、使う人の動きに応えてくれるキッチンかどうか、機能性や使い易さの真価が問われる。やっぱりリフォームしようかしら、と考えるのも案外、実感さめやらぬお正月開け早々ではないだろうか。

筆者宅のキッチン。奥行きを10㌢深めにしたカウンターとアクリル製のブックスタンドを活用している
うちのキッチンは、二.一mの正方形で、三畳にも満たない狭さだから、二.五五mの標準タイプのキッチンカウンターが入らない。よそ様のキッチンのご相談に預かっている立場からすると、少々肩身も狭い。手狭さがずしんと効いてくるのが、収納と調理のスペースで、まな板を置くとお鍋を休める場所もわずか。
さて、この狭さをどう私流に工夫したものか。忘れられないのは、パリ在住の料理研究家、上野万梨子さんの「バスタブのあるキッチン」のエピソードで、オーブンがあることを条件に探したキッチンには、なんとバスタブがついていたという話。キッチンのシンクの角に洗濯機が置いてあって、その天板が調理台になっていたのはイタリアの老デザイナーのお宅。キッチンの狭さにびっくりしたけど六人で囲むディナー料理を作って温かくもてなしてくれた。
世には使う人の呼吸にあったキッチンの姿がある。それが理想のキッチンだ。その家族の食事スタイルや、家事の仕方を主役に、今年はキッチンを再考してみたい。
東京新聞 生活面 1月7日 デザイナー 林柳江




