デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
奥行き感にサプライズ
わが家を改装した際、収納を思い切ってリビングに設けた。天井まで三枚の引き戸を入れ、中央の戸にはミラーを張り、内部はコート掛け用のクロゼットとその名も懐かしい婚礼家具三点セットの忘れ形見、整理ダンスを入れている。
家を新築する奥さまからのご相談で多いのは、結婚当初にそろえた婚礼家具の置き場所。親が支度してくれたものだけにむげに処分にはできないし、寝室に並べて置いても天井までの空きスペースが中途半端だったりで、結局、納戸に収めるケースがほとんど。なかには一世を風靡(ふうび)したゴージャスなワインレッドの三点セットをお持ちの方もいて、時代の変遷を感じたものだ。

収納扉にミラーを張り明るくなったリビング
さて、わが家の収納のミラー戸であるが、ベランダからの外光を部屋の奥まで映し出す役割を果たし、室内が格段に明るくなった。
普通は戸の開け閉めを考えて手前にミラー戸を付けるが、奥にも部屋が続くように見せたくて、あえて奥側のレールに取りつけ、ミラー戸の存在感を消すように工夫した。リビングの天井の照明器具が直線上に並んで鏡に映り、遠近感が強調され、自然に奥行きと広がりを感じさせる。
鏡を磨く手間もあるが、初めて訪れた方が鏡を覗いて、狙い通りに「うわっ!?」と驚いてくれるものだから、迎える私もつい嬉しくなる。
東京新聞 生活面 1月21日 デザイナー 林柳江




