デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
新作芽吹く欧州見本市
立春大吉。暦の上では一年の始まりで今日から3月6日の「啓蟄」の前日までが「初春」にあたるそうだ。
インテリアデザイナーが春を探しに出掛けるといったら、野でも山でもなく、ヨーロッパ各地で年明け早々から続々と開かれるインテリアの見本市だろう。最新技術を駆使したファブリックや家具、生活雑貨の新作が競うように発表され、最新のトレンドをいち早くキャッチしようと世界各国のバイヤーが大挙して訪れる。どんよりと曇って気が滅入りそうな冬空だが、見本市会場は熱気に溢れた別世界。トップメーカーが繰り広げる贅を凝らした品々やダイナミックな展示はまさに春爛漫、華やかで心が浮き立つ。

春のインテリア新作発表会には世界各地から関係者が集まる=パリで
新作は勿論だが世界各地から集まった同業のプロフェッショナルたちを見るのも愉しい。パリのメゾン・エ・オブジェはお洒落なコーディネートで注目の見本市だが、乳母車を押しながら巡るカップルや、身ぶり手ぶりもにぎやかな母娘の二人連れがいたりで、歩き疲れてカフェで休んでいても見飽きない。なかでも家具見本市で見かけた小さなお客さまたちは小学校に入ったばかりのような子どもたちで、先生に手を引かれながら会場を見学していた。あまり楽しそうには見えなかったけれど、フランスの暮らしのセンスが優れているのはこんな幼少期からの訓練の賜物なのだろう。
東京新聞 生活面 2月4日 デザイナー 林柳江




