
May 11, 2008 7:02 PM
デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
時を経て いま気づく
小学校に入学したばかりの私がリンゴにほおずりしてほほ笑む写真がある。父が撮ったものだ。長ソファに座り、かたわらの格子柄の布がかかった四角いテーブルの一輪挿しには花が飾ってある。私の服は母の手作り。ビニールレザーの長ソファとテーブルは父が手作りしたものだ。ベッドも食卓の椅子も父が作った。物が無かった時代、昭和29(1954)年のモダンデザインだ。
色あせたセピア色の写真だけれど、オレンジ色のソファ、白地に青い細縞のカーテンが金色の丸カンで窓に掛けられていたのを憶えている。
高度成長期に育った私には、畳の部屋も襖も、引き違いの窓も野暮ったくて、なんとか洋風に変えようと工夫をこらしたものだ。愛読誌「ジュニアそれいゆ」の、中原淳一のイラストで四畳半を洋風に設えるアイデアが素敵に映った。

リビング風景
そして今、四年前のリフォームで、マンションのわが家に畳の部屋は無い。仕事兼用のテーブルに、椅子に腰掛ける生活。だけどこのごろ、ベタッと畳に座ってみたくなる。正座できちんと座るのも気持ちがいい。日本伝統のなごみにつながっているのだと思う。
東京新聞 生活面 10月1日 デザイナー 林柳江