デザイナー林柳江が東京新聞で連載中のコラム 「インテリアわたし流」 をご紹介しています。
白麻のカーテン
梅雨の晴れ間は、せっかく干した洗濯物もカラリと乾いてくれないから、アイロン掛けで仕上げることになる。
家事の中で「最も嫌いで面倒」とのアンケート結果もあるいようだが、私がマメにかけるようになったのは、香港での暮らしがきっかけだ。
日本も多湿だが、香港は別格。雨期には、晴れているからと油断し、窓を開けたままうっかり外出でもしようものなら、留守中に誰かが霧吹きで水を撒いたのでは?と疑うほど、部屋中がしっとりと濡れてしまう。これは香港初心者ならではの失敗談で、渋々とアイロン掛けをする羽目となった。
大物のシーツはおろか、子供の肌着や靴下まで掛けたから、アイロン掛けにはちょっとうるさい。

光を通す白麻のカーテン。カットワークが美しい。
イタリア、コモ湖近くの住まいを訪問した時のこと。
パッリとアイロンを掛けた白麻のカーテンが居間の窓に掛かっていた。水を幾度もくぐって薄くなった純白の麻地に、優雅な花が裾にカットワークで縁取られている。糊がきいて、しわ一つ無い完璧なアイロン仕上げに思わず心奪われ、見つめてしまった。
何処で手に入れられるか、たずねて向かった先は野菜や魚が並ぶマーケット。Tシャツと並んで、幅も長さもとりどりに山積みされていた中から嬉しく手に入れたのがこの一枚なのである。
東京新聞 生活面 6月23日 デザイナー 林柳江




